新築マンション営業マン

職場の近くで会うことに抵抗のあった私は、少し遠くのファミレスを指定して新築マンションの営業マンと合いました。

大阪から来た営業マンのトーク趣旨は以下のようでした。

『節税』:医師は高所得であるから、税金が累進課税でめちゃくちゃ高いので、マンション経営をすることで学会の交通費や日々の飲食代を経費にできるので、税金がたくさん戻る!

『保険』:銀行でローンを使って購入して、団体信用生命保険をつけることで、本人が死んだ場合にはローンがなくなり月々の返済がなくなるので、家賃が毎月、生命保険のように受け取れる!

『年金』:35年ローンを完済した後は借金のないマンションが資産となり、月々の家賃が年金として入ってくる!

今思うと悪い新築マンション営業のうたい文句のお手本のような言葉のオンパレードでした。

 

そもそも普通の勤務医はそれほど特別な高所得ではないし、当時は法定労働時間の3倍くらいは働いていたので、時間単価にしたら完全に最低賃金レベルを割っていました。学会の交通費を計上するのはグレーですし、ちゃんとした学会発表なら病院が交通費を負担してくれることも多いので、病院が出してくれた交通費を二重で計上したら完全にアウトです。ほとんど病院で過ごす自分にとっては飲食代などたかが知れてますし、大前提として、『節税』になるのは基本的に不動産の運用によって損をしているからで、本来、不動産の運用でうまくいけば『納税』になります。

『保険』に関しては正しい側面がありますが、新築マンションで月々の収支が大きくマイナスになるようなものを35年ローンで買うくらいなら、まだ積み立て保険にでも入ったほうがマシです。

『年金』が最もあてになりません。よっぽど立地の良いものを選んで買えればいいですが、大阪のワンルームは飽和状態なので、35年後に、築35年になった古いマンションなんて、よっぽど綺麗にリノベーションでもしないと借り手がつきません。借り手がつかなくても月々の管理費と修繕積立金はかかるので、空室であれば損失の垂れ流し状態です。