救いの電話

新築区分マンション2億円

新築シェアハウス2億円

不動産投資について少し知識のある人なら誰でもわかる、絵に描いたような絶望的な状況でした。

ひたすら絶望的な方向に進んでいく一方で、時間を見つけて不動産セミナーや収益不動産の個別相談会に出席することは続けていたため、中古の一棟ものを扱う業者から、『これだけ新築を持っているとこれ以上の融資は無理ですね』といわれるようになると、こんなにアホな自分でも、さすがに自分の買っている不動産が優良なものではなく、ヤバそうなものだということには気づいてきます。

しかし完全に、時、既に遅し。

銀行融資は引き返してくれません。

ローン返済を止めたければ一括返済するしか道はありません。

不動産を手放したければ売却するしか方法はありません。。。

高値掴みをしていれば、売却時に損切り(自己資金を入れて一括返済)するしかありません。。。

 

ある時より、色々な一括査定サイトで保有不動産を査定しましたが、当然ながら、希望金額以上にはなりません。かといって現金は全くと言っていいほど持っていなかったため、損切りすることもできません。幸いその時点では月々の収支はマイナスになっていなかったので(当然何年かすれば収支は悪化するしかありません)、なんとかして今のうちに売却する道を探ることにしました。とは言っても値付けは損切りにならない程度なのでそんなに簡単に売れるはずはありませんでした。

なんとか売却しようと奔走していたある日、一本の電話がかかってきました。『豊島区でお持ちの「マンション名」をスルガ銀行で借りておられますよね?借り換えや売却によって・・・』と、今まで受けたことのある営業電話とは一味違いました。とはいっても当時、完全に不動産業界に対して不信感を持っていたため、こんな電話をしてくる会社の話しに乗ったら騙されると思って何度も切ろうとしました。しかし先方の物凄い粘りの後、借り換え等についての詳しい話を、その電話してきた営業マンの上司から後日聞くことになりました。

普通に考えると、こんな電話をかけてくる会社とまともに話しても絶対に良いことなどあるはずないのですが、当時はなんとかしてほしいという藁にもすがる思いと、どこかに打開策はあるはずという根拠のない自信とが混在していたため、その上司と電話で話した後、自分の持っている物件の情報を持って東京で会うことになりました。

そこから事態は急展開、一年足らずで殆どすべての所有物件を、トータルでほとんど損切りなしに売却することができました。

新築シェアハウス

最近世間を騒がせている『新築シェアハウス』、そうです、あの、『スマートデイズ(もとスマートライフ)』の『かぼちゃの馬車』を売る販売店からの誘いです。『30年間一括借り上げ』『サブリース家賃の見直し無し』『確定利回り8%』とあり得ない好条件!!(あり得ないから破綻しました)

こちらもいま大変なことになっているスルガ銀行から3.5%(通常4.5%のところ東京都内はなぜか優遇??)の高金利で借りても十分な収益!!(スルガ銀行以外に貸し出す銀行無し)

本当に一体、なぜでしょう。世の中、うまい話がそう簡単に落ちているわけがないのです。うまい話には裏があるに決まっているのです。

少し冷静になればわかることばかりで、どう考えても怪しいところは数えきれないほどあったはずなのに、なぜか、契約してしまったのです。。。

タイムマシンがあれば戻りたい。

あの頃の自分に『目を覚ませ』と言いたい。

区分マンション漬け

東京で新築マンションを複数購入し、2月に確定申告を行うと、確かに5月頃に還付金が受け取れました。このことに味をしめ、加えて学会に行くたびに別の不動産業者と合って話を聞くことで、東京だけでは無くリスク分散をした方が良いような気になりました。もう、こうなったら止まりません。もともと猪突猛進型の自分は、東京の中でも新宿区、中央区、豊島区などとエリアを変えて、さらに大阪と関西地方にもリスク分散して?次々と購入していきました。こうして気づいたときには約2億円の負債を抱えていました(笑)

ここまで来ると完全に頭のネジが飛んでいて、借金が怖くありません。むしろ銀行がどんどんお金を貸してくれることが一種の快感?のようになってきて、お金持ちになったような大きな勘違いをしていました。

そしてその後、さらにとんでもない状態になっていきます・・・。

新築マンション購入

いま考えると完全に血迷っているとしか思えませんが、大阪からきた新築マンションの営業マンの話しを聞いて、『節税』『保険』『年金』と、不動産投資がものすごく魅力的に感じてきました。

ただ、さすがに大阪から来た営業マンはゴリ押しで良いことだけしか言わず、さすがに胡散臭すぎると感じて、自分なりに不動産投資について調べてみることにしました。ここで本屋さんに行って不動産賃貸業の本でも何冊か買って真剣に勉強していれば良かったのですが、無知な自分は、某医師用のインターネットサイトを経由して『不動産投資セミナー』なるものに申し込んでしまったのです。

ちょうど東京の学会発表の翌日にセミナーがあり、東京の新築マンション業者の企画する『不動産投資セミナー』という名のただの自社マンションの営業のための会に参加してしまいました。セミナーの後、『個別相談会』という名の個人営業が行われ、ヒトの良さそうな営業マンの雰囲気と、一見、マンション経営のメリット・デメリットを丁寧に話してくれている感じ、自社マンションの立地が良くて他と差別化されているという根拠の怪しい説明にすっかり騙されてしまいました。

その後、何回かにわたって面談をしているうちに、新宿のものすごく良い場所の部屋が売り出されます言われ、気づいたら2部屋同時に購入していました・・・。そしてさらに数か月後、同じ営業マンから日本橋にもう1部屋購入し、合計3部屋に。

新築マンション営業マン

職場の近くで会うことに抵抗のあった私は、少し遠くのファミレスを指定して新築マンションの営業マンと合いました。

大阪から来た営業マンのトーク趣旨は以下のようでした。

『節税』:医師は高所得であるから、税金が累進課税でめちゃくちゃ高いので、マンション経営をすることで学会の交通費や日々の飲食代を経費にできるので、税金がたくさん戻る!

『保険』:銀行でローンを使って購入して、団体信用生命保険をつけることで、本人が死んだ場合にはローンがなくなり月々の返済がなくなるので、家賃が毎月、生命保険のように受け取れる!

『年金』:35年ローンを完済した後は借金のないマンションが資産となり、月々の家賃が年金として入ってくる!

今思うと悪い新築マンション営業のうたい文句のお手本のような言葉のオンパレードでした。

 

そもそも普通の勤務医はそれほど特別な高所得ではないし、当時は法定労働時間の3倍くらいは働いていたので、時間単価にしたら完全に最低賃金レベルを割っていました。学会の交通費を計上するのはグレーですし、ちゃんとした学会発表なら病院が交通費を負担してくれることも多いので、病院が出してくれた交通費を二重で計上したら完全にアウトです。ほとんど病院で過ごす自分にとっては飲食代などたかが知れてますし、大前提として、『節税』になるのは基本的に不動産の運用によって損をしているからで、本来、不動産の運用でうまくいけば『納税』になります。

『保険』に関しては正しい側面がありますが、新築マンションで月々の収支が大きくマイナスになるようなものを35年ローンで買うくらいなら、まだ積み立て保険にでも入ったほうがマシです。

『年金』が最もあてになりません。よっぽど立地の良いものを選んで買えればいいですが、大阪のワンルームは飽和状態なので、35年後に、築35年になった古いマンションなんて、よっぽど綺麗にリノベーションでもしないと借り手がつきません。借り手がつかなくても月々の管理費と修繕積立金はかかるので、空室であれば損失の垂れ流し状態です。

 

はじめまして。

某田舎の地方病院で働く勤務医です。日々医療を行う中で感じていることや子育てに関すること、副業として行っている不動産賃貸業に関することが話題の中心になります。

父親は普通の会社員、母親は専業主婦(途中からパート)で、二人兄弟の長男として生まれました。医師になろうと思ったきっかけは、小学生の時に図書館でブラックジャックを読んで憧れたからでした。

医学部を卒業して研修医として意気込んで働き始め、大学病院や、救急車を断らない方針の超忙しい総合病院や、田舎の病院などで働いてきました。

不動産賃貸業を始めたきっかけは、超忙しい総合病院での勤務の頃、ほぼ一日中病院に居て救急対応や当直を続けているうちに、ある日ふと『あ、死ぬかも・・・』と感じたことがきっかけでした。当時結婚してまだ子どもはいませんでしたが、近いうちに子どもができたらいいなとは思っていましたし(といっても夫婦生活をする時間など殆どありませんでしたが)、保険にも入っておかなきゃと漠然と考えました。

そんな時に職場にかかってきた一本の電話が、、、そうです、『もしもし、節税対策でマンション経営・・・』という、ほぼ詐欺レベルの儲からない新築マンションの営業マンからの電話でした。当時、『投資』ということに関して全くの無知だった私は、営業マンの言うことを完全に信じはしないものの、話を聞くだけならいいか、と、直接会って話を聞くアポをとったのでした・・・。